スポンサーサイト

  • 2019.05.15 Wednesday

一定期間更新がないため広告を表示しています

  • 0
    • -
    • -
    • -
    • -

    アリステアと貴緒と骨という個体

    • 2010.09.28 Tuesday
    • 23:47



    ひとりひとり、なんて云うけれど、
    この恐竜が生きていた頃仲間たちに何という名前で認識されていたのか
    誰も知らない。

    「ぼくたちが今ここで並んでこうしていることを、明日になって、幾人の人が知っているだろうか」

    ぼくはつぶやく。
    アリステアは何も云わない。

    あしたになって、
    あさってになって、
    そして幾年も経ったとき、
    いったい何人の人がぼくたちの今を教えてくれるかしら。
    何千年も経ったとき、
    きっと誰もぼくたちを個体として認識しない。

    「それは、ひとつの幸せかもしれない」

    アリスが云った。

    「シニシズムかい」

    「ニヒリズムかもよ」

    ぼくたちは少し笑って、また骨になった恐竜を見た。



    きみは今何処にいる―――
    ぼくは今何処にいる―――



    「以前何処にいようが、以降何処に行こうが今を知らなきゃ意味がない」


    過程よりも結果を。
    それは余りに単純で
    無慈悲のように思われるけれど、
    その考え方が無ければ
    個性などを思いつくことも無い。


    ぼくたちが人類であるという前提が無ければ
    アリステアと貴緒という名前は、まったくの無意味と化す。



    「とりあえず、ぼくと貴緒はここにいる。そして空腹だ、たった今ね」


    違いないとぼくは笑った。

    ぼくたちはそれから
    恐竜と、人類と、今を構成する過去に背を向ける。

    それはシニシズムでもニヒリズムでもない。
    ただの一つの過程。


    そして今に向き直り、
    これからと今まの全てのうちのたった一日でしかない、
    けれども、どの一日ともまったく同じではありえない今日の
    大切な夕食について議論を交わす。


    「肉がいいな」

    「魚が食べたい」


    アリスとぼくはそれぞれに云い、
    そしてともに笑った。






     にほんブログ村 写真ブログへ
     にほんブログ村 写真ブログ 心象風景写真へ
     ブログランキング・にほんブログ村へ

    スポンサーサイト

    • 2019.05.15 Wednesday
    • 23:47
    • 0
      • -
      • -
      • -
      • -
      コメント
      コメントする








          
      この記事のトラックバックURL
      トラックバック

      PR

      calendar

      S M T W T F S
       123456
      78910111213
      14151617181920
      21222324252627
      28293031   
      << July 2019 >>

      ランキングリンク

      にほんブログ村 その他日記ブログへ にほんブログ村 写真ブログへ にほんブログ村 イラストブログへ

      天体

      selected entries

      categories

      archives

      recent comment

      links

      profile

      search this site.

      others

      mobile

      qrcode

      powered

      無料ブログ作成サービス JUGEM