アリステアと貴緒と動物園のきりん

  • 2009.12.03 Thursday
  • 01:04



アリステアが云った。

「ひと休みしようよ。ぼくは少し疲れてしまったみたい、脚がジンとするや。このきりんところがいい。」

彼は少し先に見えるきりんの大きなオブジェを指さした。たしかに少し疲れていた。何せぼくらは今日一日、ランチすら忘れる勢いでたくさんの物をみて、駆け回っていたのだから。
一足先にキリンのオブジェの足元へ行ったアリスを、ぼくも少し早足になって追った。アリステアよりぼくのほうが駆け足は早いのですぐに追いつく。
鉄柵に体重をかけ、休むアリスの横に立ち、同じように柵に身をあずける。

「このきりんはいつからここに立っているのかな。さっき見た本当のきりんより長くここにいるのかしらん。」

「さあ、どうだろう。でもきっとまだ新しいよ。」

だって、黄色がこんなに鮮やかだもの。
この古びた動物園のなかではきっと新しいものに入るだろう。

「それじゃあきっとまだずっと、ずっと、ここに立っていなくちゃあならないんだろうね。」

「まあね。アリスみたいにちょろちょろと動き回って、授業中に先生に怒られることはまずないだろうね。」

と、ぼくがからかうような返事をする。
アリスは少しむくれたような表情をしたが、すぐに何時もの顔にもどる。

「貴緒だって、よく授業を抜け出してどこへだっていっちゃうだろう。」

おんなじようなもんさ、と笑う。
アリステアの笑った横顔に、傾きかけた陽が差して一瞬の間、視界が真っ白になった。

「アリス、大変。もうこんなに陽が落ちている。ぼくたち、まだこれから獏のあかんぼうを見なくっちゃならないのに。」

ぼくは、あわてて身を預けていた鉄柵から身体を離す。

「本当。まだ、豹だって見ていないんだ。急ごう。」

アリステアはそういってまた、ぼくよりひと足先に駆けだす。
ぼくはまたすぐに追いつき、いつものように並んで歩いた。











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