きみの睛

  • 2014.09.16 Tuesday
  • 19:36
「君、斜視だね」
彼がぼくの顔を初めて見て、最初に云った一言がこれであった。
ぼくが斜視なのは本当だ。
ただ、よほど注意して見ていない限り判らない程の、斜視である。
ぼく自身つい数年前、母に「母さん、ぼく寄り目が出来ない」と云って初めてそれが斜視だからであると知ったくらいだ。
「そうだよ。君、何故気づいたの。ぼくが斜視だ、てこと」
「君の眼の色を見ていたから気付いたんだ」
そんな事如何でも良いじゃない。と、彼は越して来たばかりの街を案内してほしいと云った。
ぼくは特に変わった色をしている訳でもない自分の目について考えながら、良いよ、と請け負った。
ぼくらは革の鞄に教科書や何かを詰め込むと教室を出た。
彼の鞄の蓋のベルトが片方歪んでいて、かぱかぱと浮き沈みするのがなんだかおもしろく感じた。






 

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